Raspbian Jessieについて

2015年9月末にRaspberry Piの新しいOS「Raspbian Jessie」が公開されました。今までの「Raspbian Wheezy」からのメジャーアップデートとなり、Kernelをはじめ様々なソフトの新しいバージョンが収録されています。それに伴い本書の説明の通りに進めなくなる箇所がでてきましたので、Raspbian Jessieを使用する際の変更内容や問題点などをまとめました。

2-3 P.41 「Raspberry Piの初期設定をしよう」

Raspbian WheezyではOSを起動すると、Raspberry Piの設定ユーティリティの「Raspi-config」が自動的に起動しましたが、今回新しく登場したRaspbian Jessieでは、OSを起動するといきなりデスクトップ画面が表示されます。従来のRaspi-configに加え、GUI版の設定ユーティリティ「Raspberry Pi Configration」が使用できるようになりました。
本書ではCUI版のRaspi-configや、コンソール上でコマンドを入力した使用方法を中心に解説していますので、従来のRaspbian Wheezyと同じように操作できるように設定します。

左上のMenuからPreferences→Raspberry Pi Configrationを選択します。

SystemタブのBootを「To CLI」に変更、「Login as user 'pi'」のチェックを外して、OKを押します。すると再起動するか聞いてきますので、Yesを押して再起動します。

再起動が完了すると、従来のログインプロンプト画面が表示されます。Login:の箇所では pi と入力、Password:の箇所では初期パスワードの raspberry と入力してログインします。(P.42の通り)ログインがしたら以下のコマンドを入力して、Raspi-configを起動します。

$ sudo raspi-config

以降の説明はP.41の通りです。


2-3 P.46 「Raspberry Piの初期設定をしよう」

キーボードの設定を行って刻印と違う文字が入力される場合、USBキーボードを抜き差ししても改善しないときはRaspberry Piを再起動してみてください。


2-4 P.52 「ログインと終了について知ろう」

sudo halt コマンドを実行しても画面が表示されたままになっています。その状態で電源を切ってもかまいませんが、-p オプションを付けることで、shutdownコマンドと同じように終了させることができます。

$ sudo halt -p


3-2 P.61 「ネットワークを設定しよう」

hostname -Iコマンドを実行した際、11.22.33.44 という形式のIPアドレス(IPv4)のほか、IPv6で接続している場合はIPv6アドレスも表示されます。同様にifconfigコマンドでもIPv6アドレスが「inet6 addr」という箇所に表示されます。

例)
192.168.0.xxx 1234:5678:9012:3456:1111:2222:3333:4444


3-5 P.72 「Raspberry Piを日本語化しよう」

jfbtermが正常に終了しない不具合があります。今後のバージョンアップで改善される可能性もあります。


3-5 P.81 「デスクトップ環境を使ってみよう」

Raspbian JessieではLibreOfficeがインストールされているため、テキストファイルを開こうとするとLibreOffice Writer起動してしまいます。TextEditorを起動するようにするには右クリックしたメニューから「アプリケーションで開く」を選択し、アクセサリの中のTextEditorを選択してください。「選択したアプリケーションをこのファイルタイプのデフォルトのアクションとする」をチェックしておくと、次回以降、TextEditorが起動するようになります。


4-2 P.96 「サウンドを再生しよう」

サンプルファイルのパスが変わっています。 以降のページでは /usr/share/pyshared/ は /usr/lib/python3/dist-packages/ に置き換えてください。

例)
/usr/share/pyshared/pygame/examples/data/house_lo.wav
 ↓
/usr/lib/python3/dist-packages/pygame/examples/data/house_lo.wav


4-3 P.101 「音声合成でRaspberry Piを喋らせよう」

「Error: Dictionary or HTS voice cannot be loaded.」というエラーが出る場合は、ファイルの構成が変わった可能性が考えられます。以下のサンプルプログラムで試してみてください。

サンプルプログラム jtalk2.sh
#!/bin/bash HV=/usr/share/hts-voice/nitech-jp-atr503-m001/nitech_jp_atr503_m001.htsvoice tempfile=`tempfile` option="-m $HV \ -s 16000 \ -p 100 \ -a 0.03 \ -u 0.0 \ -jm 1.0 \ -jf 1.0 \ -x /var/lib/mecab/dic/open-jtalk/naist-jdic \ -ow $tempfile" if [ -z "$1" ] ; then open_jtalk $option else if [ -f "$1" ] ; then open_jtalk $option $1 else echo "$1" | open_jtalk $option fi fi aplay -q $tempfile rm $tempfile


4-3 P.104 「音声合成でRaspberry Piを喋らせよう」

本書ではMMDAgentの Ver.1.3.1 をダウンロードするように説明していますが、新しいサンプルプログラム(jtalk2.sh)の方で動作する Ver.1.4 をダウンロードします。

ダウンロードしたファイルを解凍したらコピーします。
$ sudo cp -R MMDAgent_Example-1.4/Voice/mei /usr/share/hts-voice/.
コピーしたファイルを確認します。
$ ls -l /usr/share/hts-voice/mei/
-rw-r--r-- 1 root root 862503 10月 2 10:51 mei_angry.htsvoice
-rw-r--r-- 1 root root 862503 10月 2 10:51 mei_bashful.htsvoice
-rw-r--r-- 1 root root 862503 10月 2 10:51 mei_happy.htsvoice
-rw-r--r-- 1 root root 862503 10月 2 10:51 mei_normal.htsvoice
-rw-r--r-- 1 root root 862503 10月 2 10:51 mei_sad.htsvoice
サンプルプログラム(jtalk2.sh)の HV= の部分を、今回コピーした mei_happy.htsvoice を使用するように変更します。
HV=/usr/share/hts-voice/nitech-jp-atr503-m001/nitech_jp_atr503_m001.htsvoice
 ↓
HV=/usr/share/hts-voice/mei/mei_happy.htsvoice
再生例)
$ ./jtalk2.sh "今日はいい天気ですね"


4-4 P.106 「DLNAサーバーを構築しよう」

MiniDLNAのDLNAサーバーにアクセスすると、再生はできますがファイル名やフォルダ名が文字化けしています。今後のバージョンアップで改善される可能性もあります。


4-5 P.110 「Raspberry PiをAirPlayの出力先にしよう」

Raspbian JessieではKODIのパッケージは提供されていません。かわりにOSMCなどのメディアセンターソフトを使用するのも一つの方法です。OSMCを使用する場合、現在使用しているSDカードとは別の新しいSDカードにインストールを行います。

手順
1.ダウンロードページ からイメージファイルをダウンロード
2.解凍ソフトで.gzファイルを解凍すると.imgファイルが現れます
3.ディスクイメージ書き込みソフトを使って、新しいSDカードにイメージを書き込む(P.292参照)
4.このSDカードをRaspberry Piに挿して起動
セットアップ手順
Welcome: English(ここではJapaneseを選択しません)
Timezone: Asia → Tokyo
Hostname: 任意
License: Continue
Look+Feel: Classic
Sign-Up: No Thanks
Exit

以降は本書の説明と同じ手順で設定できます。
※2015.09-2バージョンではiOS9に非対応のようです(iOS8からは接続できます)


5-3 P.132 「Webカメラを利用しよう」

もしメニューに「サウンドとビデオ」や「guvcview」が見当たらない場合は、Menu→設定→Main Menu Editorを開き、サウンドとビデオにある適当なものをチェックしてみてください。その後現れます。今後のバージョンアップで改善される可能性もあります。


5-4 P.139. 「Webカメラを利用しよう」

ffmpeg のかわりに libav-tools をインストールします。

$ sudo apt-get install libav-tools


7-2 P.228 「GPIOをWebIOPiで制御しよう」

Raspbian Jessieではサービスの管理方法が変わったため、WebIOPiの起動に必要なファイルを別途用意する必要があります。まずはじめに、webiopi.serviceというファイルを作成して /etc/systemd/system/ にコピーします。

ファイル webiopi.service
[Unit] Description=webiopi Server After=syslog.target After=network.target [Service] Type=simple PIDFile=/var/run/webiopi.pid ExecStart=/usr/bin/webiopi -c /etc/webiopi/config [Install] WantedBy=multi-user.target
ファイルを作成したら、コピーします。
$ sudo cp webiopi.service /etc/systemd/system/
システム起動時に自動的にWebIOPiを起動させる方法 が変わります
sudo update-rc.d webiopi defaults
 ↓
sudo systemctl enable webiopi
システム起動時に自動的にWebIOPiを起動しないようにする方法
sudo update-rc.d webiopi remove
 ↓
sudo systemctl disable webiopi


7-4 P.241 「スマートフォンでI2Cを制御しよう」

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